いつつばぶろぐ

どうでもいいことを, いかにややこしく書くか

暗記パンのコストパフォーマンス

大学生のみなさん, 期末試験の迫り来る時期ですね. いかがお過ごしですか.

僕もご多分に漏れず勉強の進捗は艱難辛苦を極めています. 端的に言って死にそうです.

僕の学部の試験はいかんせん 膨大な量の暗記を強いられるタイプのものが多く, ただでさえ貧弱な脳みそを無理やり駆動させ続けなくてはなりません. 脳を使って脳のことを覚えるというのもどうも哲学的な話です. 可能なのでしょうか?

 

 

 

さて試験勉強の暗記に疲れた諸兄が頼りたくなるものと言えば, 何はなくとも「暗記パン」であろう. 暗記といえば暗記パン, というのは 博多みやげと言えば通りもん, と同じくらい有名というか当然の連想ゲームである. 

暗記パンとは(まあ今更説明すべき事項でもないと思うが)ドラえもんひみつ道具のひとつ. 要はパンに何かを書いて食べれば, その書いた内容がまるまる頭に入るというシロモノである. 

 

(註1・暗記パンについての細かいあれこれを列記しておく.

・暗記パンは正式には「アンキパン」(知らなかった).

・アメリカ版では MemoryBread と英訳されている(そのままやん).

てんとう虫コミックス(懐かしい)「ドラえもん」第2巻「テストにアンキパン」に収録されている.

・暗記パンの正確な定義は『パンをノートや本のページに写し, それを食べると その内容が確実に暗記できる』となっている.

・パンの両面に写せるかどうかは不明.

・原作ではのび太が暗記パンの食べ過ぎで下痢を引き起こしてしまい, 食べて暗記した内容を全て排泄してしまったため, 流れていく便と共に忘却してしまった, というオチがついている. )

 

(註2・註1を書くために検索していた際に見つけたのだが Wikipediaには「ドラえもんひみつ道具」をア〜ワ行ごとに全て網羅した記事があるようだ. いったい誰が蒐集したのか.  ドラえもんのひみつ道具 (あな-あん) - Wikipedia )

 

 

さて, 暗記パンを実際に使うとどうなるのだろうか.

 

(註3・のび太は作中では小学生であるから, 定期試験(そもそも小学校に明確な定期試験という制度はあっただろうか?もう昔のことだから忘れてしまった. 何かしらの形で科目ごとにテストがあったのは確かである. やたら高級な紙でカラー印刷の贅沢なペーパーテストだったように思う. )といっても たかがしれている. 僕たち大学生の試験はさすがに小学生と比べれば質的にも量的にも桁違いに大変なものであろう. (例外あり))

 

まず, 「大学生が試験1つにつき覚えるべき量を暗記パンに換算するとどれくらいか」を考えたい.

 

そのためには, 「暗記パン1枚で覚えられる分量」を考察する必要がある. 

 

手元にあるキャンパスノートやいろいろなサイズの教科書を見るに, これらの1ページはだいたい食パン1枚の2倍の面積ではないだろうか?

 

(残念ながら貧乏大学生である我が家には 教科書はあっても食パンの備蓄がなかったため, 実際の食パンとのサイズを比較することはできなかった. イメージでなんとかした. ひもじい. )

 

つまり, 簡単に言ってしまえば 暗記パン1枚あたりでは ノート及び教科書の0.5ページぶんしか覚えることができないのである.

暗記パンが6枚切りだったと仮定しても、1パック, もとい1斤食べて覚えられる量はたかが教科書の見開き1.5ページ分なのだ.

 

次に考えるのは「大学生が試験1つにつき覚えるべき量はページ数にしていくらか」である. これを暗記パン1枚あたり可能なページ数で割ればあっという間に答えが出ちゃう簡単な割り算である.

しかしこの問題は意外にも難しい. なぜなら人, というか試験によって覚えるべき量が全然違うからである. B5のレジュメ1枚で済んでしまうチョロい試験から, 30枚つづりのノート5冊ぶん, 1000ページ以上に及ぶ分厚い教科書まるまる1冊全て範囲, なんてのもある.

どうせならMAXの分量, 教科書1000ページの暗記で考えてみよう.

 

1000ページも全部暗記パンにしていたのではたまったものではない. 前述のとおり暗記パン1枚で覚えられるページ数は0.5ページであるから, 1000ページの教科書まるまる1冊を覚えるのに必要な暗記パンの枚数は単純計算で2000枚である.

では, 食パン2000枚を食べようとするとどうなるか?

暗記パンは6枚切り食パンであると勝手に仮定したのでそれを使うと, 6枚切り食パンはだいたい重さにして65g, 熱量にして180kcalであるそうだ.

 

つまり, 食パン2000枚は

 

65[g]×2000[枚]=130,000[g]=130[kg]

180[kcal]×2000[枚]=360,000[kcal]

 

である.

 

130kgの暗記パンを食べれば単純計算で体重が130kg増える(?). 調べによるとマツコ・デラックスの体重がおおよそ140kgであるらしいから, 教科書を暗記するだけで胃袋にマツコ・デラックスが1人入るようなものである.

 

なおもちろん130kgもの食パンが人間の胃に収まるはずはない.

ヒトの胃は, 通常時での容積は0.5L程度だが, 食事をすると最大4.5Lほどまで膨張することが知られている. ちょっと極論を言えばヒトが1度に食べられる量は4.5kgであると言える.

つまり130kgの暗記パンを食べ尽くして全てを暗記するには, 胃を

130÷4.5=28.888・・・

28回爆発させる必要があることがわかる.

28回も爆発させられる胃もたまったもんじゃない.

 

 

一方食パン2000枚は そのカロリーもバカにできない. 36万キロカロリーというとどれくらいだろうか?

成人男性の1日の平均摂取カロリーは約2,000kcalであることを考慮すれば, なんと180日分, 半年分である.

1回の試験のために(まあムチャクチャ重い試験の場合で考えているから大げさになるが)半年分のカロリーを摂取するというのもはなはだ健康に悪い話である.

 

このオニのようなカロリーを, どうせなら勉強で消費してみたい.

 

調べによると, 勉強により体重1kgが1分間に消費するカロリーは 0.0295kcalであるらしい. 

20代男性の補正係数を元に計算すると, 体重60kgとして この男性が1時間の勉強で消費するカロリーは

60×0.0295×60=106.2

106.2kcalである.

 

したがって, 360,000kcalの熱量を勉強のみで全て消費するためには

360,000÷106.2=3389.8

3390時間の勉強が必要であるとわかる.

 

1日の勉強時間はかなり盛ってもだいたい10時間ほどであろうから, 結局なんやかんやで1年間ずっと勉強し続けなくてはならないことがわかった.

このトピックを結論から言えば「1つの試験の丸暗記のリカバリのために1年間ずっと勉強しつづけなくてはならない」となる.

 

なんだか1年間...というと どうしても浪人やら留年やらを想起させてしまい, なんとも後味の悪い結果となった.

 

(註4・勉強を1時間しても食パン1枚分のカロリーもないらしい. いっぱい勉強してお腹が空いたからといってバクバク食べていては太ってしまうのかな. 受験太りと言われるゆえんは案外勉強のカロリー消費の少なさにあるのかもしれない. が, 逆に言えば低カロリーでたくさんの結果を出せる勉強は案外コスパのいい作業と言える. )

 

 

こんなことでは, 暗記パンは膨大な量の暗記を必要とする大学生の試験にとって あまりにもパフォーマンスが悪いのではないか.  

そもそも用紙サイズにしてB6程度の面積しかない食パン, 1度に食べられる限界枚数である10〜20枚くらいに書くほどの分量ならばいっそ普通に覚えた方が早いだろうし, 暗記パンに頼る必要性があるのか, とも言える.

 

 

しかし, よく考えれば ものごとを「完全に」覚えられるというのは何とも魅力的だ. 試験中「ああ, これやったはず, 覚えたはずなのに忘れてしまった, 思い出せない...」という悲しいキモチを何度も味わったことがある. ヒトの記憶というのは決して完璧なものではない以上, この「完全に」はかなりアドバンテージなのかもしれない.

 

 

また, 忘れてはいけないのが「転写作業の手間」である. 何はなくとも暗記パンの効果を発揮するためには, 教科書なりノートなりのページをパン表面に押し当ててギュッとしなくてはいけないのである.

1ギュッ(パンをページにセットしてから完全に文字が定着するまで圧迫しつづける手順)にまあ10秒かかったとしても, だいたいコンビニでコピーする手間と同じくらいである.

友人のノートやレジュメをコピーした経験のある方ならわかるだろうが, この単純作業が地味に面倒なのである. 

転写作業の手間, それをそののち食べるタイムロスなどなどを考えると暗記パンもなかなか難しいシロモノなのかもしれない.

 

 

 

なんとかしてこの「暗記パンのコストパフォーマンスの悪さ」を改善できないものか?以下, 解決法をいくつか提示したいと思う.

細々書いていると長くなるし疲れてきたので箇条書きで締めたい.

 

  • ひたすらノートを小さい字で書く または教科書を極限まで縮小コピーする ことで, パン1枚あたりの情報量を増やし 必要パン枚数を減らす
  • 暗記パンをスモールライトでメチャクチャ小さくしてから口に放り込む(かなり現実的なソリューション)
  • なぜか暗記パンをフカフカ高級6枚切りに仮定してしまったが, 暗記パンの定義上必要とされるのはパンの表面の面積のみであり, パンの厚さ自体は不問であることを考えると, パン1斤をひたすら薄く, 薄く, 1000枚切りくらいにしてしまえば1斤の分量で1000枚分の情報を暗記することができる. これは制度のウラを突いた妙案といえよう.
  • 教科書をpdfなどでデータ化し, そのデータを内蔵したチップやメモリを暗記パンに埋め込んだものを食べる(暗記パンの定義に外れないか, 要検証)
  • 暗記パンの暗記能力が例えばそのパン酵母にあると仮定する. その いわゆる「暗記パン酵母」をなんとかして体内に遺伝子レベルで取り込んでしまえば, 体内酵母の働きで 食べたものに文字情報が含まれている限り それを自動的に全て暗記できることになるのではないか. その段階まで行って, 極端だが 教科書を直接食べつくしてしまえば良いのだ. これは食べる量的にも, 転写作業が必要ないことからも, 最高にパフォーマンスが良いとも言える. 一見味気ない教科書だって ジャムやバターを塗ってしまえば形的にもまあパンっちゃパンであろう. おいしくいただいてしまえばよい. ヒトが教科書を消化できるかどうかはこの際不問として. 

 

 

 

ちょっと尻すぼみになったが, 暗記パンについての考察は終わりとする.

巷の大学では「単位パン」と称して クリームパンに単位の焼き印を押したものを生協で販売し, 大学生ツイッタラーを中心に人気を博したそうである. 便乗して暗記パンもいつか生協で販売される日を夢見ている. 派生で 楽譜を転写すれば 表現記号の子細に至るまで全て暗譜できる「アンプパン」なんてのもいいかもしれない. 我ら音楽サークル民垂涎である.

 

試験勉強の息抜きがてら30分程度で書くつもりが 予想以上に時間がかかってしまった. 正直こんなことしてる場合じゃない. 空想世界にひたっていないで 自力で暗記をしなくてはいけないのであろう.

 

 

僕はパンよりごはん派だから, 暗記パンには頼りづらい, というのもある.